交通事故のむちうち(鞭打ち)|むち打ちで後から痛みがでたときの対処法

むちうち症は、自動車の追突事故が原因で起こる症状ですが正式な名称ではなく、傷病名では、頚椎捻挫(けいついねんざ)、頸部挫傷(けいぶざしょう)、外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、バレ・リユウー症候群などと診断されます。

軽い事故であれば事故直後の病院での検査で異常が認められず、2、3日経過した後から症状が現れ、だんだんと首の痛みや頭痛、肩こりやめまいといった症状が現れることがあります。

むちうち症は一般的にも耳にする機会が多いものであるため、「むちうちは後遺障害に該当しないのでは?」と思われている方も多いのではないでしょうか?

確かにむちうち症は、見た目では外傷がないため簡単に後遺障害と認められるわけではありません。しかし、むちうち症は後遺障害に該当するという裁判例がありますので、適切な検査を行い後遺障害の認定を受けることが大切です。

むちうち症の等級認定について

等級 労働能力喪失率 労働能力喪失期間 認定基準
12級13号 14% 5~10年 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 5% 5年以下 局部に神経症状を残すもの

むちうちの診察において注意すべきポイントは、例えば、骨折を判別するレントゲンではなく、神経状況を把握するMRIでの診察がむちうち症の後遺症認定には必要になるなど、むちうち症に対する知識を十分に持っていなければ適切な検査が行われません。
むちうち症の検査・治療を行う際には、むちうち症に精通した医師の下で検査・治療を行うことをお勧めいたします。

また、事前認定において後遺障害には該当しないとされた場合でも、異議申立を行い、状況や症状を適切に主張することで、後遺障害と認定されることもあります。

交通事故のむち打ちで後から痛みがでたときの対処法

交通事故によるケガの中でも多くの被害者を悩ませているのがむち打ちです。むち打ちは、症状が遅れて発症しやすい怪我であるといわれており、事故現場では痛みがなく、加害者や警察官に「ケガはないから大丈夫」と言ったものの、帰宅後、落ち着いた頃に「あれ?首が痛い」と痛みを感じるようになることがあります。少しでもむち打ちの自覚症状があるのであれば、すぐに病院で診察を受け、後から治療費の面で損をしないためにも、損害賠償請求の手続きを進めた方がよいでしょう。

むち打ちは後から症状が出やすい

むち打ちは、追突事故などに遭った際に首に大きな負荷がかかることで受傷するケガです。人によって症状が異なることや発症するまでに時間がかかることがあり、判断が難しいケガとされています。交通事故直後は興奮状態にあるため、アドレナリンが分泌され、怪我を負っていても痛みに気づきにくく、後で初めて負傷を自覚するケースは珍しくありません。また、交通事故という非日常的な出来事に対する人の防衛反応のひとつとも考えられており、こうした防衛反応が出ているうちはむち打ちの症状を感じにくいと言われています。

むち打ちの症状

むち打ちの症状は、首や肩の痛みやしびれだけでなく、頭痛やめまい、吐き気などさまざまで、「交通事故とは関係ない」と思っていた体調不良の原因がむち打ちだったということもあります。医学的にも判断が難しいケガとされており、さまざまな症状を発症することや時間が経ってから発症することの原因は明確ではありません。また、レントゲンやMRIなどの検査結果による医学的な証明をできることが少なく、多くのケースでは自覚症状しかありません。むち打ちでは以下のような症状が現れます。

◆頸椎捻挫

頚椎の筋肉や神経、靭帯が過度に伸縮したり、断裂することによって発症します。首や肩の傷み、首の運動制限(前後左右に動かせる範囲が狭まるなど)、頭痛などの症状が出ます。

◆バレ・リュー症候群

頚椎交感神経の働きが正常に保つことが出来ず、異常になった場合に発症することが多いとされています。頭痛、後頭部やうなじ付近の痛み、めまい、耳鳴り、耳詰まり、食べ物が飲み込みにくくなる、息苦しさ、腕の痺れ、注意力の散漫などの症状が出ます。

◆神経根症状型

椎間孔から腕にかけて伸びている神経が圧迫されたことにより、症状が発症します。首の痛み、腕の知覚異常、しびれ、脱力症状、顔の違和感、後頭部や顔面の痛みなどの症状が出ます。

◆脊髄症状型

脊髄そのものが損傷することで発症します。足のしびれ、頭痛、めまい、吐き気、集中力・思考力の低下、視力障害、尿や便が出にくくなるなどの症状が出ます。

◆脳脊髄液減少症

脳と脊髄の周りを満たす髄液が少なくなることで発症します。頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、背中の痛みなどの症状が出ます。

 

むち打ちの症状が出た時はどうしたらよいか

交通事故において適正な賠償金を得るためには、受傷直後の対応が何よりも重要となります。事故当日に異常がなかったとしても、後から痛みが出るケースは珍しくありません。痛みが出た後に適切に対応しないと、治療費や慰謝料など損害賠償金の請求において損をする可能性があります。以下では、事故の後から痛みが出た場合の対処法をご紹介します。

◆できるだけ早く病院で診察を受ける

交通事故で後から痛みやしびれなどの症状が出てきたら、痛みの程度に限らず、速やかに医療機関で診察を受け、診断書を作成してもらいましょう。目安としては、事故から10日以内に病院へ行くことが望ましいです。交通事故と病院の受診の間隔が空けば空くほど、交通事故とケガとの因果関係を証明することが難しくなり、満足のいく賠償金を受け取ることが難しくなってしまいます。また、診断書はこのあと警察署で人身事故に切り替える際に必要となります。診断書がなければ事故でケガをしたことを証明できないため、必ず発行してもらってください。

むち打ちは整骨院での施術が有効な場合もありますが、診断書を作成してもらうためにも、整骨院に行くより先に必ず整形外科で診察を受けましょう。初診の場合は交通事故にあったことを忘れずに伝えてください。病院の窓口で、治療費や診断書料を支払った場合は、後日、加害者に請求できる可能性があるので、領収書は捨てずに必ず保管しておきましょう。

◆物損事故から人身事故へ切り替える

交通事故が発生し警察官による実況見分が行われた後には「交通事故証明書」という書類が作成されますが、事故当時に身体の痛みが出ていなかった場合、診断書が提出されておらず「物損事故」扱いになっていると考えられます。「人身事故」として処理されるためには、警察に診断書を提出しなければなりません。病院からもらった診断書を持って、事故を管轄している警察署へ行き、「物損事故」から「人身事故」への切り替えを行ってください。

保険会社から人身事故に係る損害費目の支払いを受けるためには、原則として「人身事故」として処理された交通事故証明書が必要となります。事故から時間が経つと、警察が人身事故への切り替えへの対応をしぶる可能性が高くなるので、なるべく早いうちに人身事故への切り替えを行ってください。物損事故から人身事故に切り替える期間は、厳密にいつまでとは定められていませんが、一般的に事故から数週間~1ヶ月以上経過してしまうと切り替えが難しくなる傾向がありますので、交通事故の発生からおよそ1~2週間以内に行うのが望ましいでしょう。

◆保険会社へ痛みが出たことを伝える

交通事故に遭ってしまったら保険会社への連絡も必要となります。後から痛みが出てきた場合、ご自身が加入する保険会社だけではなく、加害者側の任意保険会社の両方に連絡を入れましょう。加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社が治療費を負担してくれることがほとんどです。加害者側の任意保険会社に知らせずケガの治療をした場合、後から治療費や慰謝料の支払いをめぐって争いになる可能性もあるため事前に連絡を入れたうえで病院を受診するのが望ましいでしょう。

なお、任意保険会社に連絡する際は、病院への直接の治療費の支払いの要請も忘れずに行っておきましょう。これにより、被害者が窓口で治療費を一度立て替える必要がなくなります。いったん被害者側で治療費を立て替える場合、必ず領収書を保管しておいてください。

むち打ち症の症状をお持ちで、お悩みのことがございましたら、お気軽に地元半田市の弁護士法人半田みなと法律事務所にご相談ください。

 

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