全損事故に遭った場合、いくらの賠償金請求ができるのか?

交通事故に遭うと自動車の修理が必要となる場合がほとんどで、最悪の場合、自動車が「全損」してしまうことがあります。自動車が壊れたので修理に出したものの、相手の保険会社から「今回の事故は全損なので、修理費用全額は支払えません」などと言われたことはないでしょうか?ご自身にまったく落ち度がない交通事故でも、相手やその保険会社から修理費全額の賠償を受けられないことがあります。これは、修理費が事故当時の被害車両の価値(時価額)を上回る場合、被害車両の時価額を限度に賠償をするという考え方によるものです。

全損事故の知識がないと、相手の保険会社にうまく言いくるめられて、正当な賠償金を受け取ることができない場合があります。全損事故で損をしないために、追突事故などで自動車が全損した場合、相手に請求できる賠償金について知っておくとよいでしょう。

全損事故とは

全損は大きく分けて「物理的全損」と「経済的全損」の2つに分けることができます。

◆物理的全損

自動車のフレームなど車体の重要な本質的構造部分が、交通事故により重大な損傷を受けた場合など、修理によって回復不能な損害が生じた場合をいいます。つまり、車体の損傷が激しく、物理的に修理が不可能な場合をいいます。

◆経済的全損

物理的には損傷を修理することは可能であるが、修理費用が事故当時の被害車両の時価額よりも高額になる場合(修理費>時価額)をいいます。例えば、市場で同種の被害車両が100万円で販売されている場合、それより高額な150万円をかけて修理をすることは、経済的に合理性がないということです。

賠償請求はいくらできるのか

交通事故における損害賠償の場面では、車両自体の賠償だけでなく、これに関連する費用についても損害賠償の対象となることがあります。

◆買替差額

全損事故の場合、被害車両が使い物にならなくなってしまうため、全損となった車と同等の車両の価格(車両時価)と事故車両を処分して得た代金(スクラップ代や下取り代金)の差額を請求することができ、これを「買替差額」と呼んでいます。これは、新車の購入代金が補償されるものではなく、あくまでも事故の時点で被害者が受けた損失を補うものです。そのため、新車に買い替えた場合、「買替差額」と「新車代」の差額は「自腹」ということになります。一方、新車は買わず、買替差額分のお金だけをもらうという選択肢も可能です。

また、裁判において車両時価に関して、「自動車の事故当時における時価額とは、原則として、これと同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定める」としており、車両時価は、事故の時点を基準として、同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等を考慮し、中古車市場でいくらで購入できるかを加味して決定されます。

◆買替諸費用

被害車両が全損と認められて場合、新たに車両を買い替えることになると思います。新たに車両を購入する場合、車両本体価格以外にも様々な費用が必要になります。そもそも交通事故に遭わなければ、車両を買い替える必要もなく、買い替えのためにかかる諸費用が必要になることもなかったでしょう。交通事故により車両を新たに買い替える場合は、買い替えのためにかかる諸費用も損害項目によっては交通事故により生じた損害として認められるものがあります。買替諸費用として認められる可能性があるものとして、具体的に以下のものがあります。

⦿登録費用 … 買った車を自分の名義にするための登録にかかる費用
⦿車庫証明費用 … 車の保管場所を証明する車庫証明の取得にかかる費用
⦿納車費用 … 買い替えた車を納車してもらった場合の費用
⦿廃車費用 … 廃車する際にかかる費用
⦿自動車取得税
⦿車両本体価格に対する消費税 … 事故車両と同程度の中古車を買うのに必要な消費税
⦿リサイクル法に基づくリサイクル関連費用 … 車のリサイクルにかかる費用
⦿車両整備費用
⦿事故車両の自動車重量税の未経過分 … 永久抹消登録されて還付された分は除く
⦿ディーラー報酬部分 … 登録手数料,車庫証明手数料,納車手数料,廃車手数料など

交通事故がなければ不要であった廃車や登録手続きの費用は「交通事故によって発生した損害」と言えるので加害者に請求可能です。一方、買替諸費用として認められず、加害者側に請求できないものもあります。

⦿自動車税
⦿自動車重量税
⦿自賠責保険料

これらは、交通事故に遭わなくても車を所有している限り支払わなければならないもので、交通事故によって発生した損害とは言えず、加害者に賠償義務が発生しません。

 

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