死亡事故・重大事故

死亡事故について

交通事故によっては、交通事故被害者の方がお亡くなりになられてしまう場合があります。ある日突然、大切な方を失われたご遺族の方の悲しみは計り知れないものです。

しかし、ご遺族の方しか被害者に代わって死亡事故における損害賠償請求を行うことはできません。そのため、ご遺族の方は、悲しみを癒やす時間を取ることができないうちに、保険会社と交渉を行わなければならなくなります

死亡事故においても他の交通事故同様に、保険会社からの提示額が適切でないケースが少なくありません。特に、逸失利益においては適切に賠償金の計算が行われていないことがよくあります。

また、過失割合について、被害者はお亡くなりになられており、事故状況を直接聞くことができないため、加害者の証言を基に被害者にとって不利な内容で計算が進められることもありますしかし、弁護士に交渉を依頼すると、実況見分調書や事故目撃者の証言などから事故状況を把握し、被害者に不利な状況にならないよう代理人として活動し、適正な損害賠償金の受け取りが可能になります。

ご家族がお亡くなりになられ大変お辛いことではあると思いますが、被害者の変わりに適切な賠償金を受け取ることができるように、死亡事故においても弁護士に相談をしていただくことをお勧めいたします。

死亡事故における就労可能年数算定について

就労可能年数とは、交通事故によって死亡した被害者が交通事故に遭わないで生存していたとするならば、その後働くことができたであろう期間のことをいいます。就労可能年数は、治療によって改善が見込めず、後遺障害が確定した時点(症状固定時点)または死亡した時点から算定され、原則として67歳までとされています。67歳を過ぎている場合は、原則として、簡易生命表の平均余命の2分の1を就労可能年数とするとされています。また、就労年齢に達していないような幼児・児童・生徒・学生の場合の就労始期は、原則として18歳となりますが、被害者が大学生の場合には大学卒業予定時の22歳からとなります。

死亡事故と葬儀費用について

交通事故で被害者が死亡してしまった場合、被害者の葬儀にかかった費用も加害者や保険会社に請求することができ、加害者が賠償するべき損害と認められます。
葬儀関係費用に含まれるものは、葬儀代金そのものだけではなく、火葬・埋葬料、読経・法名料、布施・供物料、花代、通信費、葬儀広告費、その他葬儀社に支払う費用、仏壇・仏具購入費、墓碑購入費、遺族の交通費(外国からの帰国も含む)などで、四十九日までの法要代も葬儀費用として認められています。つまり、「お葬式」の費用だけでなく、その後一般的に執り行われる儀式に関して、社会通念上認められる限度において賠償請求が認められます。また、香典返し、弔問客の交通費、四十九日忌を超える法要費用は、葬儀関係費用として認められません。

死亡慰謝料の相場について

交通事故の死亡慰謝料とは、被害者が亡くなったという精神的な苦痛に対して支払われる賠償金です。死亡慰謝料には、①被害者本人が交通事故によって受けた精神的苦痛に対する補償と、②被害者本人の慰謝料だけでなく、被害者を亡くし、遺族が受けた精神的苦痛に対する補償の2種類があります。
また、慰謝料の算定基準には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。

自賠責基準

自賠責基準は法律で決められた基準で、最低限の補償金額となります。死亡した被害者本人の慰謝料は400万円と定められ、遺族の慰謝料は、請求する権利のある者が被害者の父母・配偶者・子どもに限られ、請求する者の人数によって金額が異なります。請求者が1名の場合は550万円、2名の時は650万円、3名以上の時は750万円となります。また、被害者に扶養家族がいる場合は、さらに200万円が加算されます。

任意保険基準

保険会社が独自に定めている計算基準です。保険会社によって金額が異なり、詳細は非公開ですが、自賠責保険基準と同程度か若干高くなる程度といわれています。

弁護士基準

過去の裁判例をもとに設定されている基準です。3つの計算基準のなかでは、もっとも高額になる可能性の高い基準です。裁判実務上では、死亡慰謝料は被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料を合算した金額として取り扱われています。
家庭内での立場によって慰謝料が異なりますが、死亡した被害者が一家の支柱の場合は2800万円、一家の支柱に準ずる場合(配偶者・母親)は2500万円、そのほかの場合(子どもなど)は2000万円~2500万円の範囲内とされています。

 死亡事故における近親者慰謝料について

近親者慰謝料とは、近親者固有の慰謝料とも呼ばれ、被害者が死亡した、もしくは深刻な後遺症を負った場合に、被害者の近親者に対して支払われる慰謝料のことをいいます。当然ですが、交通事故の被害者は大きな精神的苦痛を受けます。また、大切な家族が亡くなったり後遺症が残ったりしてしまえば、そのご家族も大きな精神的苦痛を受けます。
民法第711条(近親者に対する損害の賠償)「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」と定められており、近親者慰謝料は、被害者の近親者(家族など)が被った精神的苦痛・損害に対して支払われるものなのです。しかし、すべての交通事故で近親者慰謝料が認められるわけではないこと、また、金額については明確な基準はないことに注意が必要です。

 死亡事故における刑事手続きについて

交通事故により、相手方を死亡や負傷させると、通常は、自動車運転過失致死傷罪(7年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金、科料)に問われることになります。死亡事故の加害者(運転者)の刑事手続きは、次のような流れで進みます。

〖交通事故の発生〗

〖事故現場での実況見分〗
事案によっては、逮捕・拘留されることもあります。加害者(運転者)は、交通死亡事故を起こした際に、過失運転致死罪などの容疑で逮捕されることが多いです。

〖警察署での取り調べ〗
警察官が交通事故現場についての実況見分調書を作成したり、加害者(運転者)や被害者、また目撃者から交通事故の状況等について事情を聞き、供述調書を作成したりします。

〖検察庁での取り調べ〗
検察官による事情聴取、供述調書の作成が行われます。

〖検察官による起訴、不起訴の判断〗
捜査によって収集した証拠などをもとに処分を決定します。情状が軽い場合や証拠が不十分な場合には不起訴になります。

〖起訴の場合には、略式裁判か正式裁判かの決定〗

◆略式裁判

検察官が裁判所に略式命令の請求を行い、請求を受けた裁判所が一定額の罰金または科料の刑を課す裁判です。

◆正式裁判

通常の刑事裁判手続と同様の手続で、事案に応じて、7年以下の懲役、禁固または100万円以下の罰金、科料を課す裁判です。また、正式裁判には被害者参加制度があり、被害者も刑事裁判に参加して加害者に対して質問をしたり、裁判官に対して加害者にどのような刑罰を科すべきか意見を述べることができます。

死亡事故の損害賠償請求権について

交通事故が発生したら、被害者は相手に対して損害賠償請求をすることができます。しかし、死亡事故の場合、被害者本人は死亡しているため自分で損害賠償請求をすることができません。誰が損害賠償を請求できるのかが問題になりますが、法律的には、被害者本人が死亡している場合、被害者の「相続人」が相手に対して損害賠償請求をする権利を取得します。
死亡事故で発生する「損害賠償請求権」は1種の相続財産として、相続人に引き継がれ、相続人の範囲は民法によって定められています。配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。その他の相続人には順位があり、配偶者以外の相続人がいる場合、その順位によって配偶者と一緒に相続をします。

◆第1順位 『子』

子どもがいる場合、子どもが第1順位の相続人となり、配偶者と子どもが損害賠償請求権を取得します。配偶者がいない場合には、子どもだけが相続人となり、子どもが損害賠償請求をします。

◆第2順位 『親』

被害者に子どもがいない場合、親が第2順位の相続人となり、配偶者と親が損害賠償請求権を取得します。配偶者がいない場合には、親だけが相続人になります。

◆第3順位 『兄弟姉妹』

子どもも親もいない場合、被害者の兄弟姉妹が第3順位の相続人となり、配偶者と兄弟姉妹が損害賠償請求権を取得します。配偶者がいない場合には、兄弟姉妹のみが損害賠償請求権を取得します。

交通事故で大切なご家族を亡くされた方へ

思いがけない事故により、大切なご家族が交通事故の被害に遭われ、ご遺族のみなさまはさぞかし辛く悲しい思いをされていると存じます。ご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。交通事故は、一瞬にしてこれまでの平和な生活を一変させてしまいます。しかし、このような深い悲しみの中でも、ご遺族の方にしか被害者に代わって死亡事故における損害賠償請求を行うことはできません。ご遺族の方は、被害者に代わって適正な賠償金を受け取ることができるように、保険会社と交渉を行わなければなりません。

ご家族がお亡くなりになられ大変辛いことではあると思いますが、被害者の方にかわって適切な賠償金を受け取ることができるように、死亡事故においても弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士によるサポート

◆弁護士にご依頼いただければ、加害者側との示談交渉を一括して代行いたします。弁護士が代理人になるため加害者や保険会社と直接やり取りをせずに済み、時間的・精神的なご負担が大きく軽減されるかと思います。

◆弁護士が交渉を行うことで裁判所基準に基づいた適正な損害賠償を請求できます。場合によっては大幅な賠償金の増額を見込めるケースもあります。

◆死亡事故の場合は、被害者の方が亡くなっているため、加害者の証言が基となって損害賠償の計算が進められることもあります。弁護士ならば、警察から事故に関する証拠や目撃証言などの資料を収集し、正しい過失割合を判断することが可能です。

◆示談交渉がうまくいかず、裁判に発展した場合でも、弁護士が代理人に就いていれば戦うことが可能です。経験豊富な弁護士にお任せいただければ、複雑な手続きに戸惑うことがなく、スムーズに対応できる点も大きなメリットです。

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