交通事故はある日突然、予期せぬ状況で起こります。それは、自動車の運転をしている時に限られたことではありません。バイクを運転している時も同様です。自動車事故に比べると、バイク事故は死亡につながりやすく、バイク事故による死亡リスクは自動車事故の死亡リスクの3倍です。車体で覆われている自動車と異なり、バイクは運転手の身体がむき出しになっているため、運転手に対するダメージが大きくなってしまいます。
バイク事故を防ぐためには、バイク事故がどのようにして発生しているか、二輪車ならではの原因や傾向を知っておくことが大切です。バイク運転中に、バイク事故を起こしてしまった、起こされてしまったとき、少しでも落ち着いて対処するためには、あらかじめ準備をしておくことが重要です。
バイク事故が起こる原因
スピードの出しすぎ
バイクでの死亡事故を見ると単独事故が多く、その原因の多くはスピードの出しすぎにあります。スピードを出しすぎたために、バイクを制御できずにカーブを曲がり切れなかったり、スリップしてしまうことで発生します。これは、バイクに限った話ではありませんが、スピードが出るほど車体に遠心力がかかり、スピードが出ているときほど細やかなカーブはできなくなるからです。このようにスピードの出しすぎはバイクの事故につながりやすいのです。
運転者の視界が狭い
バイクを運転する際にはヘルメットを着用しなければなりません。そうすると視界の妨げになり、自動車の運転者がイメージするよりも視界は狭くなってしまいます。さらに、運転中は前傾姿勢を保つ必要があり、目線も下に向き、首を動かして周囲を視認できる範囲にも限りがあるため、バイクの運転者の視界は自動車の運転者よりも格段に狭くなっています。その結果、バイクの運転者が危険に気付きにくくなり、ブレーキをかけるのが遅れて重大な事故が発生する可能性が高くなります。乗車姿勢を意識したヘルメット選びやプロテクターの装着だけでなく、運転時の視線の運び、前後左右の確認と車間距離の確保が重要になります。
追い越しやすり抜け
バイクは自動車より車幅が狭く、また加速力のあるバイクは自動車より自由な走行が可能です。そのため、追い越しやすり抜けが容易にできるという特性があります。複数車線の道路で渋滞の車列の間をすり抜けていくバイクはよく見かける光景ですが、その前で車線変更をする車があったり、左側からすり抜けをしているバイクの前で車が左折をしたりという危険なシーンもあります。また、追い越しの際には、スピードを出しすぎてしまい、一瞬のミスが交通事故を引き起こしてしまいます。追い越し中やすり抜け中にバイクが自動車の死角に入ってしまい、自動車の運転者がバイクに気付かずに進路変更をするなどして事故が発生するケースもよくあります。
予測の甘さ
バイクの交通事故は右折時や出会いがしらに多く、これは交差点に進入した際に運転者の想定の外から車両や歩行者が出てくることで起こる事故で、予測の甘さが原因だといえます。交通事故は、運転技術の未熟さというよりも、どちらかといえば認知や判断、予測といった複合的なミスによって起こりやすい傾向があります。したがって、安全なバイク運転をするためには、危険の素早い認知と、その結果に対してとるべき行動を考える判断、「~かもしれない」と予測をする癖をつけることが大切です。
バイク事故を起こさないための対策
バイクの特性を把握する
- 自動車などの四輪車に比べると、バイクは運転手のバランス能力など個人の能力に左右されます。「バイクを自分の力で支えられるか」「バイクをまたいだときに片足に地面が付くか」「バイクを押して8の字を描くことができるか」など四輪車以上に自分の体に合ったものを選ばなければなりません。
<二輪車の特性>
- ・四輪車の死角に入りやすい
- ・スピードを出せば出すほど視界が悪くなる
- ・バランスを取りにくい乗り物のため転倒しやすい
- ・体重の重い人ほどバイクが完全に停車するのに時間がかかる
- ・交通事故の場合に身体に受けるダメージが大きい
- ・ブレーキは基本的に前輪と後輪が別々の2系統2操作となっている
- ・急ブレーキをかけるとタイヤがロックするおそれがある
バイクのメンテナンスを行う
バイク事故は運転者による事故原因だけでなく、バイクの整備不良やメンテナンス不良によっても起こります。すり減ったタイヤ、緩んでいるボルト、汚れの付着したチェーン、オイル漏れ、ライトや合図の不灯、ブレーキの故障など、定期的なメンテナンスを行うことで、メンテナンス不良による事故を防ぐことができます。日頃からの点検、整備を怠らないようにしましょう。251cc以上のバイクであれば、初回登録から3年で車検を受けた後、2年に1度のペースで車検が義務付けられておりきます。ちんと検査を受ければ安心して乗ることができるでしょう。
ヘルメット・胸部プロテクターをつける
バイクに乗るときは、当然のことながらヘルメットの着用が必要です。また、ヘルメットの脱落を防ぐために、あごひもをしっかり締めることが重要となります。また、ヘルメットだけでなく胸部プロテクターもつけるようにしましょう。バイクの運転者の身体は車体でガードされていませんので、頭部だけでなく、他の部位もできる限り保護することが大切です。バイクが四輪車に接触すると、バイクの運転手は前方に放り出され、胸部や腹部が四輪車の屋根やピラーに激突した結果、鎖骨や肋骨などを骨折し命を落とす危険性があります。胸腹部損傷による死傷事故も多いので、その危険性を下げるため、胸部プロテクターをつけるべきです。
バイク保険(任意保険)に加入する
自動車の保険と同様、バイクにも強制保険と任意保険があります。自動車事故と同様に、交通事故が起きると高額の賠償額が必要になるにもかかわらず、多くの人がバイク保険に加入していません。自賠責保険は相手方に対する保障なので、自分の怪我に対して保険金は支払われません。バイクは重傷を負いやすいため、バイク保険で備えておくのが良いでしょう。自らの怪我に備えるためにも人身傷害保険や搭乗者傷害保険には加入しておくことをおすすめします。
ドライブレコーダーを搭載する
バイク事故が起きてしまった場合に備えて、ドライブレコーダーを搭載しておきましょう。実際に事故に遭った場合に事故状況の検証などにあたって信頼性の高い証拠になりますし、特にあおり運転や当たり屋の被害に遭った場合には効果的です。
交通事故・労働災害に遭い、辛い出来事を体験された中でも、弁護士に相談しようと一歩を踏み出した方が、こちらの記事を読んで頂けていると思います。私も数年前に、親族を事故で亡くしました。大きな驚きと深い悲しみが今でも残っております。一歩を踏み出したあなたの想いを、是非受け止めさせてください。